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7/6(木)スタッフ舞台挨拶<音響回>オフィシャルレポートが到着!
大ヒット開催中の『劇場版アイドリッシュセブン LIVE 4bit BEYOND THE PERiOD』(略称:ムビナナ)。7月6日(木)のスタッフ舞台挨拶<音響回>には、錦織 博(監督)・山本健介(監督)・濱野高年(音響監督)・大寺文彦(録音調整)・下岡聡吉(エグゼクティブプロデューサー)・十河大和(音楽プロデューサー)が登壇した。
本レポートでは、音響への熱いこだわりが語られた当日の模様をお届けする。
▲向かって左から下岡、十河、錦織、山本、濱野、大寺
会場に集まったマネージャーたちに拍手で迎えられて登壇した6人。自身の名前に因んで逢坂壮五、二階堂大和、十 龍之介のリストバンドをつけた十河と、劇場ライブロゴTシャツのサイズが合わず、無地のTシャツに16人分の缶バッジをつけた大寺が当日のファッションを説明すると、開始早々たくさんの笑い声に包まれた。
興行収入17億円、動員数100万人が目前に迫るこの日、スタッフ陣からマネージャーたちへの感謝の言葉が改めて伝えられた。山本が「自分も劇場にいっぱい行ってます。皆さんがどんな感じに観てくださっているのかなと思って。TRIGGERのMCでも言っていますけど、毎回違うんですよね、特に応援上映って」と劇場ライブ中の空気感を伝えると、登壇者全員が納得した表情をみせた。「そういう作品を目指していましたが、皆さんと一緒に劇場のシートで観たときに『アイドリッシュセブン』の魅力が伝わってきて、本当に嬉しく思いました。ありがとうございます」と山本がつなげると、客席から盛大な拍手が送られた。
応援上映について下岡は「初めて劇場で観たとき、ド頭から皆さんの声とペンライトの光の渦で号泣しちゃって」と自身が参加した時のエピソードを披露。これを受けて、音響をこだわり抜いた大寺が「皆さん、本当に細かい仕掛けにも気付いてくださるんですよね。やった甲斐あったなと思いました」と晴れやかな表情をのぞかせると、スタッフ陣に感謝するように盛大な拍手が巻き起こった。
続けて下岡が「ちなみに……早い段階で「下岡さん、その髪の色は?」って言われる予定だったんですけど」と切り出すと、この様子に思わず笑みをこぼした登壇者たち。この日のために「Incomplete Ruler」をモチーフに髪を染めてきた下岡のこだわりに、マネージャーたちからは感嘆の声があがった。
ここからはMCやセットリストに関する裏話に。錦織は「最初は<DAY 1>、<DAY 2>で曲だけ変更するという話から始まったんですが、セトリがまったく同じでも、お客さんが違えばメンバーのリアクションも変わるんじゃないかという話になって。そう考えていくと、MCも含めてやっぱり新しく作ろうとなりました」と制作秘話を紹介。これを受けて下岡が「最初、MCはもっとコンパクトだったんですよ。だけど、だんだん長くなっていって。その分負担も増えるとわかっていても、みんなやりきろうと言ってくれました。そもそも最初<DAY 1>、<DAY 2>の2公演でやろうと企画した時、誰も「嫌だ!」と言わなかったんです。一人も反対せず「どうやったらよくなるのか」そればっかり考えてくれて。本当に嬉しかったです」とスタッフのアイナナ愛を披露した。
ここで、この舞台挨拶の数時間後に7月7日の『アイナナの日』を記念して、YouTubeでライブ映像が期間限定公開される「Pieces of The World」(現在は公開終了)が話題に。特に思い入れが強いのは十河だ。「4つのグループがアッセンブルしてこのライブを創り上げるために、どんな曲がいいかすごく考えました。どのグループにも寄らない、とにかく新しい音楽を作りたいという思いでした」と制作中の胸の内を述べると、下岡が初めてインストを聴いた時の感想を続けた。「インストの曲でもう大盛り上がり。「すっげえ!」って。そんな伊藤 賢さんの曲に真崎エリカさんの歌詞がついたんですけど、その時はまだ譜割はわからないから想像で歌うじゃないですか。その時点でもう「すごいな。感動しちゃうな」って感じで。でもそれが、16人の歌声が入った完成形になったらもう言葉にならないくらいすごくて!」と興奮した様子で、その時の感動を表現した。
本劇場ライブは、スクリーンに映らないアイドルたちの反応すら楽しめるのが魅力だ。誰かのMCにリアクションしたり、客席にファンサをしたり、リアルライブなら絶対にあるはずの声までもが収録されている。こうしたライブ会場のリアルを追求したのは音響監督の濱野だ。「台本もなく、カメラにも映っていない音声をいっぱい収録させてもらいました。キャストさんも意図を理解してくれて、「どんどんアドリブを入れていきましょう!」という感じで積極的にやってくださったのがありがたかったですね。そのアイドルだったらどうするかを考えながら演じてくれたんです。あとはディスカッションしながら時間をかけて作っていきました」とキャストとのアドリブ制作秘話を明かした。
すでに劇場ライブに参加した人にとって、16人全員が集結する「TOMORROW EViDENCE」は印象深いシーンの1つだろう。このシーンが楽曲収録後、錦織のアイディアで急遽差し替えることになった事実が明かされると、会場から驚きの声が上がった。「最初、「Incomplete Ruler」の後にIDOLiSH7が集まる演出だけを思いつきました。でもその後に、曲の途中でほかのアイドルたちも入ってくるビジョンが浮かんだんですね。その時にはもうIDOLiSH7だけのバージョンが届いていたんですが。元々は歌い終わりのMCで呼び込む予定だったんですけど、もうこの演出以外考えられなくて十河さんに相談しました」と錦織がその時の心境を明かした。
劇場ライブの音響において5.1ch/Dolby Atmos®の話題は外せない。5.1chは前方のセンター・左右2つ、後方の左右2つ、低音エフェクト用のサブウーファーの6つのスピーカーからなるサラウンドシステムであるのに対し、Dolby Atmosは天井スピーカーなど、さらに複数のスピーカーが設置され音の位置を3次元空間で表現することで、立体的な音響を実現している。
この劇場ライブでは、最初にDolby Atmosが制作され、その後5.1ch、2.0chとチャンネル数を減らしていく手法を取っている。Dolby Atmosの制作ではスタッフが映像を観て、要望を集約させ、大寺が要望に沿って音響を調整して、また観るというフローを夜な夜な集まっては、日が昇るまで繰り返したという。下岡は「通常、1回の調整は本編映像の倍の時間くらいで終わるんですけど、その日は大寺さんが全然スタジオから出てこなくて。様子を見に行ったら、錦織監督が大寺さんの横でカット単位で音の要望を出していました。それだけ音響へのこだわりが詰まってるんですよ」とその時の様子を熱く語った。
しかし、これよりさらに大寺を悩ませたのがスタッフの間で「5.1ch事件」と言われる出来事だ。大寺は「Dolby Atmosで一番良い形になるよう作り込んだ結果、特殊なミックスに仕上がってるんです。普通の劇場作品のセオリーより、ライブの立体感や会場にいる感じを優先した結果、5.1chに落とし込んだ時に残念な感じになってしまって。一度作ったものを持ち帰ってほぼやり直しました」と当時を振り返った。サラウンドシステムの違いによる音響には緻密な空間設計が不可欠なようで、錦織も「立ち位置はどこか、歓声はどれくらいのレベルが観やすいのか細かく調整した結果、5.1chに合わせようとすると違う条件になって難しいんですよね」と大寺に共感するように言葉を紡いだ。
Dolby Atmosでは、ライブでは聞こえづらいマイクオフの音声も聴き取ることができる。なかでも山本が聴かせたかったセリフの1つが、<DAY 1>で六弥ナギが発した「アマーノガワ」という一言だ。「絶対残そうと思っていたのですが、途中のバージョンのときに消えていて。劇場ライブの制作では、錦織さんが足し算していくのを、自分は引き算で抑えながら作っていたのですが、このセリフだけは入れてくださいとお伝えしました」と当時のやり取りの様子を明かした。厳密にはどのバージョンでも消えている音はないが、どの音まで意識させるのかは絶妙な調整が必要だそうだ。
最後はスタッフ一人ひとりから来場者への挨拶。彼らの話を通して、音響制作のチームをはじめとしたスタッフ全員の努力が結実して一つのライブが完成したことを感じた客席からは大きな拍手があがり、大盛況の舞台挨拶を終えた。
各スタッフの挨拶は以下の通り。
十河大和(音楽プロデューサー)
「この作品を作る時に1人でも多くの方に観ていただきたいということでスタッフみんなで力を合わせて頑張って作ってきましたが、本当にたくさんの人に観ていただけています。いま僕らが見ている景色が、マネージャー皆さんに連れて来てもらったっていう感じがすごく強くて、本当に感謝しかございません。劇場ライブはまだまだ続きますので、ぜひ何度でも足を運んで彼らを応援してください」
大寺文彦(録音調整)
「Dolby Atmosってなかなか1エンジニアがやりたいって言ってやらせてもらえることじゃないんです。お金もかかるし、手間もかかるので。でもそれを今回、『アイナナ』のマネージャーさんたちならDolby Cinema®をやっても絶対に楽しんでもらえるだろうとなり、やることができました。ありがとうございます!」
濱野高年(音響監督)
「エンタテインメントとして皆さんにどこまで楽しんでもらえるかを考えながら、一丸となってやってまいりました。月並みな言葉になりますが、皆さんが楽しんで何回でも観に来てくださるようなものが作れたっていうのは、エンタテインメント作ってる人間としては「やったな!」と。もちろんこれで終わりじゃないでしょうから、次もこだわった作品作りをしていきたいなという気持ちです」
山本健介(監督)
「今日はいろいろな話を皆さんに伝えることができたのかなと思います。ぜひまた観た時に今日の話をちょっと思い出してもらって「あ、こういうことか」と感じていただけたら嬉しいです。ナギの「アマーノガワ」は<DAY 1>で聴けますので、ぜひ聴いてください(笑)。応援上映で皆さんの姿を見せてもらって、それを励みに自分も通わせてもらいますので一緒に楽しみましょう」
錦織 博(監督)
「今日観ていただいたのがDolby Cinema版という、とても満足のいく仕上がりになっていたと思うんですけど、ほかにも応援上映とか4Dとか、いろんな楽しみ方ができるバージョンがございますので、ぜひ楽しんでいただけたらなと思います」
下岡聡吉(エグゼクティブプロデューサー)
「この劇場ライブはマネージャーさんに観ていただいて初めて完成しますということを、ずっと言っていました。1回1回開催される毎に完成していくのがこれからも続けばいいなと思ってます。自分たちはその姿を局所的にしか見ることができないんですが、日本全国でこんな風景が色んなところにあって、それで毎回「BEYOND THE PERiOD」というこの先の『アイドリッシュセブン』を見せたい、その1つ目の企画なんだってつもりでやってきました。無理なく、だけど楽しいから、また行こうっていうことであれば、もう何度でも足を運んでいただいて、最後まで見ていただけたら嬉しいです」
現在、全国の劇場では『劇場版アイドリッシュセブン LIVE 4bit BEYOND THE PERiOD』の<DAY 1>・<DAY 2>公演がどちらも楽しめる。7月13日(木)にはスタッフ舞台挨拶<演出回>が開催されるほか、14日(金)にはツイートOK上映会<DAY 2>、7月22日(土)にはグループ舞台挨拶<TRIGGER>が開催される。IDOLiSH7、TRIGGER、Re:vale、ŹOOĻの全力のライブを堪能できる時間を、ぜひ劇場で何度でも味わってほしい。