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7/13(木)スタッフ舞台挨拶<演出回>オフィシャルレポートが到着!

大ヒット開催中の『劇場版アイドリッシュセブン LIVE 4bit BEYOND THE PERiOD』(略称:ムビナナ)。7月13日(木)のスタッフ舞台挨拶<演出回>には、錦織 博(監督)・山本健介(監督)・下岡聡吉(エグゼクティブプロデューサー)が登壇した。

 

本レポートでは、印象的な演出の裏話が語られた当日の模様をお届けする。

 


▲向かって左から下岡、錦織、山本

 

この日は、一観客の視点で両監督へ質問をする下岡と、それに答える錦織・山本という構図で進行した。劇場ライブの演出を手掛けた2人に話を聞けるとあって、客席は冒頭から高揚感に包まれていた。

 

監督2人は普段アニメの現場で活躍しているが、本劇場ライブではいわゆるアニメーションをつくったという感覚はないと語る。錦織は「今回は関係者みんなで“ライブ”を作ったという感じ。4グループ16人のアイドルたちから、“どんなライブをやりたいか”を聞きながら、会場やセットリスト、演出を作ったので、僕たちも観るたびに発見がありますし、感動もします」と実際のライブさながらの感想を述べた。

 

 

こうした感覚で制作しているからこそ、ライブを観てもらう環境にも並々ならぬこだわりがあるようだ。「今回は4DやDolby Atmos®などいろんな見方をしていただけますが、そのなかでも今回の劇場(新宿バルト9 シアター6)はDolby Cinema®を上映するためだけに作られていて、ここで流れる劇場ライブの映像も、Dolby Cinemaに特化した音響と映像にチューニングされています」と語ると、錦織は会場全体に目をやる。舞台挨拶を行った会場は椅子や壁など、すべてが黒一色で統一されているが、これは光の反射を低減するようにと配慮された結果だという。「ここなら、階調差があるのでより深い黒が出せるのと、ライトやアクセサリーなど輝度が高いものをより綺麗に観てもらえます」とDolby Cinemaの魅力を説明した。

 

ここで、色へのこだわりを熱く語ったのは山本だ。「今回は、通常の映像を制作した後でDolby Cinema版に作り変えるという流れだったのですが、Dolby Cinemaを作るのは最初からわかっていたので、元の素材の階調をもっと持たせておけばよかったと思っています。今の素材は8bitといって256色の明るさの中で作ったのですが、もっと贅沢に16bitにしておけば65,536色の階調で作れたなと思っています」と悔しそうな表情を見せると、その作業の過酷さを理解している下岡・錦織から「おいおい!」とノリの良いツッコミが投げられた。

 


階調についての説明を踏まえ、話題はライブタイトルの「LIVE 4bit」の由来に移る。「bitとは2進数の単位で“かけら”という意味があるんです。だから4bitだと4つのかけらが集まっているという意味。これを2進数に直していくと」と言うと山本が指を折りながら「2bitで4、3bitで8、4bitで16になる」と4グループ16人で行うライブという内容とのリンクを説明。客席からは驚きの声とともに盛大な拍手が巻き起こった。劇場ライブのタイトルは『LIVE 4bit』の部分が先に決まり、『BEYOND THE PERiOD』は後から決まったものだそうだ。

 

続いては撮影に関する裏話。本劇場ライブでは、VRゴーグルを使ってバーチャル空間にあるステージを撮影する手法が取り入れられた。この撮影方法について山本は「我々の前には彼らがいるけれど、彼らにとっては我々は幽霊みたいなもの。だから気にせずパフォーマンスをしてくれます」と状況を説明すると、錦織をアイドルに見立てて撮影の様子をコミカルに再現してみせた。「こういった手法だからこそ、今回アニメーションを作ったという感じがしないんです」と改めて語ったのは錦織だ。「最初から最後までアイドルが出てきて歌って、踊って、捌けていく。VRゴーグルをかけてステージ上のアイドルたちを見ながら、バーチャルカメラを使って撮影しました。普通のアニメーションは絵コンテで画面の構図を決めていくのですが、今回はモーションキャプチャーで1人ひとりの動きを先に作って、魅力的なところを見つけて撮影するというやり方です」とカメラマンの視点で熱のこもった説明をした。

 

バーチャル空間のライブをもとに撮影位置や照明を決定していたため、スタッフの間ではこの作業を「リハーサル」と呼んでいたそうだ。まだ衣装が決まっていなかった当初の撮影では、アイドルがうさぎパーカーを着用していたため、「本当にリハーサルのようにリラックスした雰囲気で撮影していましたね」と錦織が当時を楽しそうに振り返った。

 


撮影開始当初の方針について、「劇場ライブでは、客席にカメラを置いていないんですが、実際のライブにはドリー(レールで横移動するカメラ)などがあるじゃないですか。それにあたるものが実はバーチャル空間にも80台くらい設置されていて、最初はそれである程度のライブ映像を作って、バーチャル撮影は補助的なつもりで考えていました」と語った錦織。だが、バーチャル撮影が魅力的な画作りに効果的だと気付いてからは、徐々に使用頻度が増えていったそうだ。

 

このVRの利点について、山本は時間を飛び越えられる点を指摘。「皆さん、タイムリープものの作品を見たりしませんか? 私も何度も時間を戻してバーチャル世界でタイムリープを繰り返していくうちにどんどんカメラで撮る動きが洗練されていきました。ただ、一日中やっていると酔いますね(笑)」と、この制作方法ならではの特徴を披露して会場の笑いを誘った。

 


ライブの演出を考える際、2人はまずレインボーアリーナのデザインを作るところから始めた。まず、16人が横にずらっと並んだ画から必要なステージの広さを割り出し、客席の広さを決めていったという。そして会場全体のバランスを考え、あとから2階席や壁際の席も増やしたそうだ。
会場の演出はリアルを追求したという山本。「16人のアイドルは実際にいるので、その彼らが実際にいる会場をつくろうと思いました。今回はあくまでもその会場の中で起こっていることにこだわりたかったので、結構シンプルな作りに。そのなかで4グループそれぞれの個性を出したり、4グループみんなの魅力を引き出したりするためには、大きなテーマでないとそれぞれの個性を包めないと思ったので「森羅万象」というテーマを提案しました」とテーマ決定の背景を語ると、下岡が当時の心情を明かした。「最初はテーマが広いからまとまりきらなかったらどうしようかと思ったんですが、究極的に考えて、今の自分を1つずつ辿っていくとみんなが1点に集約されますよね。それこそ「森羅万象」だと気付きました」と、次第にこのテーマへの納得感が増していったそうだ。

 

 

照明効果もライブ演出の重要な要素の一つだ。本劇場ライブでは、通常のライブ会場にあるライティングをバーチャル空間に設置したが、動かす上で問題が山積みだったという。「技術的な問題を解決するために、普通のライブで使われるシステムを直接導入しようということになり、その分野の素人たちでしたが勉強しながら取り入れていきました」と山本が当時の苦労を明かした。「会場の明かりはほとんど設置された照明器具の光で構成されています。ライブ中、照明器具が動いている姿が見えたと思いますが、あれはちゃんと機能しているんですよ。舞台上のアイドルの前にライトが見切れることもありましたよね。ライブ空間であることを感じてほしかったので、ちょっと邪魔かもしれないけれど残しました」と裏話を披露した。

 


舞台挨拶もそろそろ終盤に。ここで「STRONGER & STRONGER」の演出について、錦織と山本の間であったエピソードが語られた。ŹOOĻの4人が背を向ける画を思い描いていた錦織に、山本は顔が見えなくてよいのかと不安を口にしたという。結果、途中で振り向く振付を入れながら「みんなで一緒に行こうぜ!」といった雰囲気のある現在の演出になったそうだ。

 

舞台挨拶の最後は、スタッフと客席の「アイナナ!」「しようぜ!」のコールアンドレスポンスで締められ、大盛況のうちに幕を閉じた。各スタッフの挨拶は以下の通り。

 

山本健介(監督)
こないだ教え子と一緒に劇場ライブを観て、その後に「アイドルたちが常にこちらを見てくれているわけではないけど大丈夫?」と聞いたんですよ。そしたら「それがいいんじゃないですか。こっち見て! という気持ちになるのが楽しいんですよ」って言ってもらえて、ようやくほっと胸を撫で下ろしました。ただ、アイドルたちは会場の皆さんを見ようといろんなところに視線を送っていますので、ぜひ彼らの視線を求めてまた来てください。

 

錦織 博(監督)
いろんな方法でステージングしたものを拾ってライブを作っていったので、観るたびにたくさん発見もありますし、いろんな新しい作り方もできるかなというのがわかってきたので、機会があれば何かの形でまた作れればいいなと思っています。

 

下岡聡吉(エグゼクティブプロデューサー)
僕はSNSとかをやっておらず、前回の舞台挨拶で他の方から「こんなふうに言ってもらえてますよ」とたくさん感想を見せていただきました。僕は自分の名前が世に出るのを見ると、「僕一人じゃない」という気持ちになっちゃうんです。『アイドリッシュセブン』にはたくさんの方々が関わっていてスタッフロールに名前が出ている方々が全員じゃない。僕はプロデューサーだから皆さんの目に付きやすいんですけれど、彼ら・彼女らのほうがよっぽど頑張ってくれています。だから、できれば僕の名前をつぶやくのではなく、「アイドリッシュセブンプロジェクトチームすげぇな」とつぶやいてくれると励みになります。末永くこの作品を愛してください!

 


現在、全国の劇場では『劇場版アイドリッシュセブン LIVE 4bit BEYOND THE PERiOD』の<DAY 1>・<DAY 2>公演がどちらも楽しめる。7月22日(土)にはグループ舞台挨拶<TRIGGER>が開催されるほか、28日(金)には劇場ライブの大ヒットを祝してキャスト・スタッフも登壇する「祝!ムビナナ大ヒット御礼上映会」が予定されている。IDOLiSH7、TRIGGER、Re:vale、ŹOOĻの全力のライブを堪能できる時間を、ぜひ劇場で何度でも味わってほしい。